SNSをやっていると、リハビリテーションや作業療法などの専門的な技術や情報交換のグループがあったりして、私もいくつかに参加しています。
今日はそこでお知り合いになった意思伝達装置ユーザーの方のお話です。私の地元とは遠く離れた南の方に住んでいる方ですが、リアルな状況での接触は全くないというちょっと今風な?関係だったりします。
どんな経緯で体がご不自由になったのかは聞いていないのですが、何かとってもクリエイティブな方で、「伝の心(意思伝達装置)」をコミュニケーション手段にしながらパソコンの「ペイント」機能を使って絵をかき、展示会なんかもやってるという、私の好きないわゆるツワモノな方なのでした。最近は「3Dペイント」の方にも興味があるようで。
その方からちょっと困ってるという投稿がありました。曰く「(最近使うようになった)マイクロスイッチが断線したみたいで、伝の心が使えない」と。さらに「前にうまく使えなかったPPSのスイッチをもう一度出してきて練習する」とも。
とりあえず「ちょっとおせっかい」な私としては、黙っているわけにはいかないのです。断線ならプラグだろうという事で、ご家族の方に分解してもらったりして。
最初見た時に右の方が怪しいなぁと思っていたのですが、改めて送ってくれた写真では思いっきり断線してますね。原因は延長コードの方でした。原因がはっきりしたので、あとは「電気屋さんでオーディオ用の延長コード買ってきてもらって交換しましょう」ということでめでたしめでたし。。。。なのですが。
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支援者として考えさせられることが2つほどありました。
その1
こんなに簡単に切れそうな導線を使うのはどうなの?
上の左の写真、ちょっと見にくいところもありますが、2本の導線は明らかに太さが違います。導線は太ければよいというわけではありませんが、あまり細いと何かのきっかけでちぎれてしまうという事を考慮する必要があると思います。また、左のプラグの方は、配線をはんだ付けした後に力がかかって取れたりしないように上からフィルム状の被膜をかけています。これを見るだけで、道具を使う人や環境を考えた、製作者の心づかいのようなものがうかがえます。一方右の方ははんだ付けがむき出しだし、そもそもプラグの形状に対して導線が細いのではんだ付けの部分に力が集中していつ断線しても不思議ではない状況です。意思伝達装置を使用されるユーザーにとって、スイッチが断線して使えなくなるなんて、かなり想定外の出来事で、とても不安な時間を過ごされたに違いありません。
その2
マイクロスイッチが使えるのに、PPSスイッチを導入するってどうなの?
上の写真がマイクロスイッチ。物理的に「カチカチ」して作動するスイッチで、身体が不自由になると「できる動き」に合わせたセッティングを工夫して使います。
下の写真はPPSスイッチ(のセンサー部分)。一般的には「カチカチ」することが困難になった方に使うものです。筋肉を活動させたときに、関節は動かないけれど皮膚のひきつれや膨隆ができる場合、それをキャッチしようとするものです。
今回の場合、上のようなスイッチの工夫で「カチカチ」できるにもかかわらず、PPSスイッチを導入しようとする動きがあったという話。機器の導入は、しっかり利用者の状況を評価しないとまずいんじゃないかということ。いくらいい機器を提供しても、利用される方に適合していないと結局使えないという事になってしまう。「制度上、抱き合わせで申請しないと」という事が仮にあったとしても、それとは別に現状に合った方法も準備すべきです。実際この方もうまく使えなくて、マイクロスイッチに出会うまでストレスありまくりだった様子です。
さらにいうと、このセンサーのつけ方はこの方にとって正しくない可能性があります(リアルに見せていただいたわけではないので断言は避けます)。便利に使えていたスイッチが突然使えなくなっての再練習の場面なので「正しい使い方を忘れた」という可能性はゼロではありませんが、以前導入したときに、正しい(効率的に操作できる)つけ方を指導されていなかった可能性も否定できません。
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ひとつのスイッチ、1本の導線。意思伝達装置のユーザーにとっては周囲とつながるまさにライフラインです。
技術が進んできて、意思伝達装置に関わらず自助具や福祉用具一般について「便利に使えそう」なものが増えてきました。ネットで検索したり、SNSで「〇〇で困っているんですが?」とか相談したりすると「◆◆がお勧め」とかいう何らかの情報が得られたりします。でも、その情報ってホントにその人のニーズに合ってるの?って感じることも多い気がしています。
私の「バーチャルおせっかい」は基本的に自己満足でやっているので役に立ったのかは。。。なのだけど、便利な道具が本当に便利に使えるか、は支援者による利用者の細かな観察、評価や心づかいに大きく依存するのだな、という事を改めて感じた週末の出来事でした。
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合同会社M-projectでは、「自助具工房えむ」として自助具の適合や作成の活動を行っています。お気軽にお問い合わせください。
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